1億円以上の有価証券を持つ人が、海外へ出国する時に所得税を課税される制度。中小企業では影響ないと思い込んでいたが、次の点に気を付けたい。
・非上場株式の評価は相続税評価額ではなく、所得税法上の時価
「類似業種比準価額」と思い込んでいたが、所得税基本通達59-6に準じて評価する(所得税基本通達60の2-7)。そのため、オーナー株主で「小会社」評価となれば、「類似業種比準価額」をそのまま利用できない。しかも、「純資産価額」は土地、有価証券は時価、評価差額に対する法人税控除もできない。
・相続の際、相続人のひとりが海外居住
例えば、非上場株式は、日本居住の後継者へ承継することで対策済み。非上場株式を相続しないが相続人の一人は海外居住。海外居住の相続人がいる場合、被相続人の準確定申告の期限(4ケ月)までに国外転出時課税の対応をする必要がある。どのような方針とするか、事前に想定しておきたい。
・株式を暦年贈与しているが、子のひとりが1年以上の海外留学中
例えば、株式を子世代へ暦年贈与。子のひとりが長期の海外留学中。
・参考通達
所得税基本通達60の2-7 法第60条の2第1項第1号の国外転出の時における当該有価証券等の価額又は同項第2号の国外転出の予定日から起算して3月前の日における当該有価証券等の価額(60の2-8において「国外転出時の価額」という。)については、原則として、23~35共-9及び59-6(公社債及び公社債投資信託にあっては、昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の第8章第2節《公社債》)の取扱いに準じて算定した価額による。